読書記録:予想どおりに不合理
Date: 2023/9/29
Book
タイトル:予想どおりに不合理
作者:ダン アリエリー(Dan Ariely)
リンク:予想どおりに不合理
ずっと読みたいリストに入っていたが読んでいなかった有名な行動経済学の本。
通勤時にコツコツ読んで約1ヶ月で読了。
ページ数自体は多くないが、内容がぎっしり詰まっているので、スラスラと読むというよりじっくり読みたい一冊。Amazonで¥1,100!
概要
一般的な経済学や市場原理には、人間は常に合理的な判断ができ、それが市場に反映されるとういう大原則がある。
だが、人は経済学や市場原理が予想しているように合理的に行動するわけではなく、それぞれの状況や選択肢によっては非合理的に行動する。
また、この非合理的な行動はある程度予想できる!
本章の内容から特に気になった部分をピックアップしてみました!
印象に残ったところ
市場規範と社会規範
社会規範は無料・報酬なしで行われる、主に善意からくる行動や手伝いのこと。一方、市場規範は金銭のやり取りが発生する(=仕事)ことです。
私たちの生活には、1つのものごとが社会規範でも市場規範でも同時に存在していることが多々あります。
たとえば・・・
あなたが無償のボランティアに参加しようとした時、相手から「無償は申し訳ないので、時給500円でお願いします。」と言われたらどう思うでしょうか?「いや、それは少ないな・・・そもそも最低時給下回ってるし・・・」とモヤモヤしませんか??
気になっている人と3度目のデートとした帰り、なかなか進まない展開にストレスを感じ「今まで君に使ったお金は6万円なんだ・・・」と口にしてしまったら相手はどう感じるでしょうか?言うまでもなく不快な気持ちにさせてしまいますよね。
デザイナーで考えてみましょう!
デザイナーのあなたは友達の結婚式のためにウェルカムボードを作ることにしました!
今までの経験を活かして仕事終わりの時間を使って20時間ほどの制作時間をかけて、渾身のウェルカムボードを作りました。当日、新郎新婦はもちろん参列者からも好評であなたはとても満足していました。ですが式の後、友人の新婦からお礼として3,000円を渡されました。
・・・あなたはどう思うでしょうか??
「自分の単価からして3000円はさすがに少ないような?」、「これって仕事だったのかな・・・?」など、突然仕事モードがONになり、単価や給料と比較してしまうのではないでしょうか?
お金が絡んでいなかったところにお金が絡んだ瞬間、市場規範が入りこみ、社会規範が消えてしまうのです。
これがもしプレゼントだったらどうでしょう。
お礼にお花や高級ブランドのチョコレートなんかをいただいたら、例え同じ3,000円の価値でも気持ちよく受け取れるのではないでしょうか?
プレゼントは社会規範の範囲内に収まるようです。
もちろん、仕事に対しては適切は対価をもらうことは大切です!
ただ、好意でやったことと仕事は一線を引く必要がありますよね。私たちデザイナーの場合は報酬が必要ならはっきりと必要であると申し伝え、金額の交渉をする必要があるかもしれません。また、好意で無償でやるのなら事前にその旨を伝えたほうが気持ちよく制作ができそうですね!
性的興奮の影響
もうひとつとても興味深かったのは第6章「性的興奮が意思決定にどんな影響を与えるか」
性的興奮状態の時にいくつかの質問をすると通常時とは全くととなる、倫理観の欠けた回答が返ってくるという日本では絶対に許されなさそうな実験の結果です。
(ex.コンドームは性的快楽を減らすと思いますか?キスだけでは不満になると思いますか?など)
最近、有名人の不倫がメディアを賑わせていますよね。内容自体に興味はないものの、ずっと「どうして社会的地位が下がる可能性があるのにこんなことしてしまうんだろ?天秤にかけたら絶対にしない選択肢の方がいいのに・・・」と思っていました。同じことを感じている方も多いのではないでしょうか。この実験結果を見て、その答えがわかった気がします。
性別、年齢関わらす誰しもが持つべき知識のようにも感じました。
まとめ&感想
どうしてもっと早く読まなかったんだろうと後悔するほどに面白かったです!
言われてみたら確かにそうだなと思う内容が多いのですが、それらが仮説から立証されていくフローもわかり非常に勉強になりました。
また、何気なく行なっている選択にも理由があることがよくわかります。
そしてその選択はいつも同じではなく、その人の状況によって変わってきます。
人と関わるすべての方にも役に立つ本だと思います。
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